2018年02月20日

直接請求による臨時市議会を振り返って…

 予算議会が始まりましたが、直前に開かれた臨時議会について振り返っておきたいと思います。「市立幼稚園・保育所のあり方」に関わって地方自治法にもとづく直接請求が市民からなされたことによる臨時議会でしたが、単に一つの政策の是非にとどまらない住民自治にかかわる重大な問題をはらんだ議会だったからです。
 直接請求で出された条例案は、統廃合計画である「市立幼稚園・保育所のあり方」の一環として昨年の9月議会で決められた市立朝日ヶ丘幼稚園、同精道幼稚園、同精道保育所の廃園(所)条例を廃止すること(=3施設の存続)、市立幼稚園で3歳児保育を実施することが内容で、最終的にはあしや新政会、公明党、日本維新の会などの多数で否決されました(賛成は日本共産党3名ほか計6名)。
問題は、条例案の審査を通じて、直接請求自体を否定する暴論が市長や一部議員から出されたことです。
 市長は、2月5日の民生文教常任委員会での審査において、当日先に開かれた本会議でわが党のひろせ議員が「直接請求が出されたということは、市長や議会に民意が反映されていない、ということである」と指摘したことに対して、「耳を疑う」と言いました。しかしその市長の発言を聞いた多くの市民が耳を疑ったのではないかと思います。
委員会で私からも紹介しましたが、出版当時に内閣官房副長官や全国知事会事務総長などが編集顧問に名を連ねた「実務地方自治講座」は、直接請求について次のように解説しています。
「直接請求制度は、現在の地方自治制度が基本的によって立つ間接民主制の欠陥を補い、住民の意思を直接地方行政に反映させるためのものである。」

つまり、議会による間接民主主義が民意を反映していない場合において、民意反映の主権者の権利としてあるのが直接民主主義の制度である直接請求だということです。ひろせ議員は、それをそのまま言ったに過ぎないわけで、それに「耳を疑う」と返した市長こそ、今日の地方自治制度への無理解を示したわけで、6期も市会議員を務め、市長としても4期目にある方からの言葉とは思えない、まさに「耳を疑った」というのが、市長の発言を聞いた市民の反応です。
住民の意思、民意が市政、市議会に反映していないからこそ直接請求がだされるのだということです。そしてそれが有効な民意であるとする前提として、有権者の50分の1などの条件が設けられているわけで、今回はその法定数の4倍に相当する6304人が賛同していて、間違いなくここに民意があるということを市長や議員は謙虚に受け止める必要があります。もちろんそれに対して政策的判断から賛成、反対があることまで否定するものではありません。大事なのは大前提において、直接請求として出されたことの重みをしっかりと認識することです。法の趣旨に基づいて、正当な手続きによって成立して出されているのですから、「耳を疑う」ようなことでは毛頭ないのです。
議会との関係もおのずと明白であり、今回の直接請求に賛意を示すことが議会制民主主義を軽んじているなどと言うことにならないことはあまりに当然です。そもそも地方自治法が議会制民主主義という間接民主主義には民意を反映する上で欠陥があると考えているからこそ直接民主主義の直接請求制度が設けられているわけですから。この関係性が理解できないと、議会あるいは議員の側が、直接請求が出されると自分たちが否定されているかのように受け止めてしまい、「議会のプライド、議会の権威を守ってほしい」などという市長の発言になるのです。市長が委員会で言ったような「議会の議決が最後であり最高である」と言って直接請求制度を低く見るなどというのは、そもそも地方自治法の理解が間違っているのです。「条例案に賛成する議員はよもやおられないと思う」との発言と併せて、傲慢のそしりを免れないものです。
はからずも、市民からの直接請求によって、市長や一部議員の地方自治なかんずく住民自治についての認識の程度が市民の知るところになったわけですが、これを契機に、芦屋市議会が真に住民自治の機関として発展することを願わずにはおれません。私自身がそこに身を置くものとしてさらに力を尽くしていきたいと思います。

posted by 平野 at 22:05| Comment(0) | 活動